現役のかやぶき職人

74歳。この道57年のベテランということは、1949年に17歳で弟子入りしたのかな。独立したのかな。戦後まもなくだが、まだまだ屋根屋になるということが職業選択としてあったということかな。
小さな門の屋根だけだが、つくりはけっこう本格的。藁や茅を使い分けることで、軒に綺麗な縞模様を見せるあたりが、実に職人の仕事だ。こういうのは、相互扶助のかやぶき屋根ではないことなのだそうだ。
面白かったのが、近所のおじいさんがやってきてあれこれとしゃべるところ。詳しいですね、と水をむけられると嬉しそうに「だって俺も屋根屋になれっていわれたんだもん」と笑う。
きっとこの人は若いころ、相互扶助のかやぶきを体験していて、そこで器用で上手な茅手として活躍してたんだろう。そして上手っぷりをもてはやされて、屋根屋になれ、なんて言われたんだろう。そんなふうにかやぶき職人は誕生したのだ、と本に書いてあったな。