[book]日本住居史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4642079475/
図書館で発見。タイトルに惹かれて読み始めた。
2006年3月出版だが、あとがきをみると2000年ぐらいから書き始めたとある。
21世紀にはいって語られる日本住居史とは。。。
建築史ではなく、住居史というからには。。。
しかし過剰な期待はあっさり裏切られた。
大学の教科書としてかかれたのか、各時代の代表的な話題を駆け足で並べた、いささか退屈な本ではあった。
もっとも、教科書とはこんなものだろうし個別に興味深い記述も少なからずある。私の勝手な期待に答えていないというだけのこと。

明治以前は権力者や富豪の建物ばかりが題材として選ばれていて、住居史というタイトルとあまりあっていないような気がする。
建築史の本と比べると、建物の使われ方や間取りに関する記述が多いのかもしれない。
しかし、昔の世界の精神性とか宗教観などにふれずにただ建物の間取りなどを論じてもしかたないような気もする。
本書にも網野善彦の名前がちらりと出てくるが本書自体はまったくそれ以前の古い歴史学というかんじ。住居史はまだまだそこまで研究されていないということか。
一転して大正以降では住宅改良運動や集合住宅についての記述が主となっている。
このへんは住居学ふうというか。いかにもってかんじ。

大正を境にしてがらっと話題が変わっている。
それまでは上流社会の、生活と政治と仕事とが渾然となった特殊な住居についての記述ばかりなのに、大正以降は都市中流層のことだけなのだ。
(そういう階層が出現したのが大正以降なのだから当然なのかもしれないが。)

ちなみに、日本住居史でぐぐってたらこんな面白いサイトを発見。
日本の住居史