家を建てる契機

私の目下の関心は「ひとが家をたてるときに自分の好みを反映させられるようになったのはいつか、それはどのように可能になっていったのか、そしてそれはどのような家をうみだしてきたのか」というようなこと。
そうすると、ひとはどういうときに家をたてるのか、たててきたのか、ということも知りたくなるわけで。
「分家」というのがひとつの契機としてあったわけだ。これは今でもある話だろうから想像つかないこともない。
経済力がつくと、というところも興味深い。いまでももちろんそうだが。今なら住宅ローンなんてものがある。昔、住宅ローンに相当するものがあったのか、それとも貯蓄がすべてか。
関心を言葉にしてみると、それに沿って本がみつかるわけで、まだまだ面白い本が眠っている。たとえば

[book]日本列島に生きた人たち 10 景観
ものがたり 日本列島に生きた人たち〈10〉景観
には古代の農民が口分田の近くに仮の住まいをつくって耕作をしたり、あるいは荒地の近くに住まいをつくり(といってもテントみたいなもの。)田を自力で開墾したと思われる話が出てくる。続けているうちに住まいにも手をいれつづけ恒常的な住居にし、田といっしょに売却したときには「草屋二間」と、史料に記述されているとか。
また、もっと時代が下って江戸時代の新田開発のはなしとか。太い道がまっすぐつくられその両脇に短冊状の田畑と屋敷地が生前と並べられた風景というのは新田開発特有の景観なのだそうだ。
そういうところに最初は粗末な掘立小屋がたてられ、豊かになるにつれ近世民家が建てられていったわけだ。
そういえば、私が住んでいるところもそうやって江戸時代に開発された土地で、近くには新畑なんていう地名もあるな。
街道沿いに整然と細長い土地がならび、今ではそれらが切り売りされてコピペ住宅がいっぱい建っているのだった。